「心のEvergreen」の感想

  今回のライブは、特に武道館ということで気負った感じはなかっ
たと思います。基本的にはツアーと同じで、来たお客さんを楽しま
せることを第一にしたライブだったかと。ゲストをたくさん呼ぶと
か、昔のアルバムから順に曲をやるとかもなかったですし。

  そんななかで唯一彼らの今回のライブへの思いが表れていたと思っ
たのが、アンコールの「心のEvergreen」でした。あれをバンドとし
ての演奏の最後に持って来たところに。
  この曲は2ndと3rdとの間に出たシングルのみ(のちにベスト盤に
は入っていますが)のものですが、そのころはアルバムは思ったよ
り売れず、ライブにもお客が入らず、彼らとしてもつらく、先を模
索していた時期だったと思います。そんな時に、再度自分達のスタ
ンス、そして今後の方向をしめすかのごとく出したのがこのシング
ルでした。詞全体に彼らの思いがあふれているような曲です。
  サビの部分をちょっと引用すると(違っているかもしれませんが)
	「気持ちのまま 腕を振って 歩いてゆけばいい
	  そうさ 自分だと 言い切れるまで」
など、自分達のやり方をつらぬいていくんだという決意のようなも
のが感じられます。

  そうして自分達の信じる道を進んで来た結果が、パワステから青
年館、サンプラザ、全国的なツアー、そして武道館へとつながった
わけです。その一つの区切りとしての武道館で、昔の自分達の姿を
思い出すとともに、再度初心にかえるかのように、この曲を歌った
というところに感動しました。
  しかも演奏はExtend Version(Reunion収録)のもの。確かもとも
とはExtend…のほうが先に出来たのですが、いろいろな都合で彼ら
の意に(多少)反してシングルのVersionになったはずです。そうい
う問題もあったにせよ、今となっては自分達のやりたいものを自由
にやれるようになったことにも感慨があります。


  以下は個人的な思い入れですが、ちょうど私がリアルタイムで
SLTを買うようになったのがこの「Evergreen」からでした。あのこ
ろはまだSLTを知る人もほとんどいなくて、ひたすら一人で聴き入っ
ていたものです。
  そのあと彼らも徐々に売れるようになり、ライブの会場も大きく
なっていき、ついには大規模な全国ツアーをやるまでになりました。
そして昨日武道館でライブをやるに到ったわけです。
  こういう過程をずっと一緒に進んで来て、昔はそんなに多くなかっ
た観客も今は8000人もになりました。その後ろにはもっともっと多
くのファンがいることでしょう。そういう中で自分の周りを埋めつ
くす8000人の人達と一緒に「Evergreen」を聴けたということにと
ても感動したわけです。しかもSing Like Talking Mailing Listの
方々という音楽をともに語れる人々と一緒に観れたわけですし。

  そういう個人的な思いと、SLT自身の考えているだろう思いとが
重なり、過去に聴いてきたSLTの曲及びライブ、そしてそのころの
自分の姿とが頭の中をよぎっていって、曲の間はもう涙を抑えるの
で精いっぱいでした(^^;。近くにMLのメンバーがいなかったらきっ
と泣いていたでしょう(^^;。
  そのとき、ずっとSLTを聴いてきて本当によかったと心の底から
思いました。

  ということで、あのアンコールの１曲を聴けただけでも、本当に
行ってよかったと思ったライブでした。